1997年(平成7年)、多分小学校高学年くらい。
少年ジャンプに飽きかけていた僕は週刊少年マガジンを愛読し始めていた。
その頃始まったマンガ、哲也ー雀聖と呼ばれた男ー。魅力的な玄人たちが繰り広げる麻雀に心を踊らせていた。その原作に麻雀放浪記という小説がある。その著者であり主人公が阿佐田哲也だ。
終戦直後の雑踏の中で生きるために博打を打っていた世界から、とあるきっかけで2020年にタイムスリップ。
「麻雀放浪記2020」
主演の斎藤工や岡崎体育など、平成最終盤に大きな話題を作っている俳優が出演している。
そして、対局相手などに登場するAIロボット。これを人間が演じているのが興味深い。全身整形で話題のヴァニラ、浮気問題で世間を騒がせた(巻き込まれた?)ベッキー。
「人間がAIロボットを演じる」というのはおそらくもうしばらくの話だろう。そこからは多分実際にAIがAIを演じることになる可能性が高い。技術の過渡期を感じることができる。
これに加えて、ヒロインのドテ子をチャラン・ポ・ランタンのももが演じている。アーティストとしての写真は結構かわいらしく見えるものが多いが、映画の中ではなんかちょっとブスっぽい。そして、多くの男と関係を持っている。「ちょっとヤリマンなちょいブス」って最近見かけない、もうちょっと前は映画や漫画とかで結構見かけた気がするけどな。そういう、女の子を大事にしないような表現はもうできないから、見かけなくなったのかもしれない。
そして、竹中直人とセックスをしている場面もあり、今人気で決して落ち目とはまだ言えないアーティストがこのような場面を演じていたのも驚いた。
ということで、テーマソングはチャラン・ポ・ランタンかなと思って迎えたエンディングは、CHAIの「Feel The Beat」だった。「NEOかわいい」のCHAI。平成最後に花開いたアーティストで、この主題歌も平成末期を感じる「今っぽい」楽曲になっている。
そして、公開直前に出演者ピエール瀧が麻薬取締法違反で逮捕された。「作品には罪はない」という風潮も生まれ、予定通り公開された。平成が終わろうとしている今公開しなければならなかったんだなと感じた。
こういう映画ってVシネマとかちょっとアングラっぽく公開するんじゃないのかな?と思うところだが、こういうのをメインストリームとしてしまうのが平成の浅はかさじゃないかと思う。CGはとってもCGだったし、ミニチュアはとってもミニチュアだった。
昭和のしわ寄せに苦しめられ、「昔は良かった」に否定された平成時代。
ファストファッション、ファストフードがあたりまえになり、物事の本質が目まぐるしく変化して、見えづらくなっていた平成時代。
そして、数多くの災害に苦しめられ、人間の絆の重要性を幼心に感じた子どもたちをたくさん生み出した平成時代。
10年後「平成の終わり頃ってこんなんだったよね」って振り返れる作品になると思う。
そして、令和の終わりくらいには本編の最後のシーンから続く、麻雀放浪記2050とかが作られるかもしれない。
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